こんな依頼ありました「 マンハッタンで会いたい」

久々にお話を書きます。というのも、毎度毎度言ってますが、実話というのは書くのが大変です。

ほとぼりが冷めぬ間に書いてしまうと、たとえある程度フィクション風にしても、

見る人が見れば、「あっ。」という事になるのですから。

さて、前置きはこれくらいにして…

このお話は、舞台がニューヨークでした。

それにしても、いまでこそバンコク支局があったりしますが、この頃はグアムであったり、ハワイであったりと、

割とリゾート地での調査がポツポツあるくらいでしたので、「ニューヨークに行って下さい。」

と依頼者から言われた時は流石にビックリしたものです。

 

◇    ◇    ◇    ◇

 

「ニューヨーク?」私は言いました。「一体、どうされたのですか?」

「浮気の調査をお願いしたいんです。」

依頼者というのは、ハッキリと言うものですが、私からしたら、〝何故にニューヨークで浮気?〟と思ったものです。

相談者…というか、依頼者ですが、女性でご主人が日本の大手企業の副社長さん。

企業名は明かせませんが、要するにこの副社長さんが、定期的にニューヨーク支店を訪れるという。

浮気の相手はニューヨーク在住の日本人女性だといい、ホテルにチェックインしてから絶対にその女性と会うのだと言う。

 

◇    ◇    ◇    ◇

 

我々は、先にニューヨークに向かい、ホテルでご主人を捉えて、尾行調査をして欲しいと言うのだ。

私はもう一人の調査員H君と二人で成田空港からアメリカに渡る事となった。

この案件で、何が辛かったかと言えば、日程がかなりタイトであったという事。

調査は、何と3日間だけ。まあ、依頼者の予算の都合仕方がなかった。

何と言っても、ニューヨークだと旅費だけで大変。

初めは断ろうかと思ったくらいの予算であったのだけど、〝どうしても〟と泣きつかれると弱いのが、ティービーアイブラザーズの悲しい性というか…

まずニューヨークに着くと、大きな荷物をガラガラと音を立てて引きづりホテルにチェックイン。

ホテルは当然、予算の都合でドミトリー…

荷物をホテルに預けると、私たちはレンタカーを借りた。

対象者であるご主人が宿泊するホテルは〝マンダリリンオリエンタル〟

私たちのホテルとは差があり過ぎる。

依頼者である奥さんから、ご主人の飛行機の到着時間を教えてもらっていたが、必ず、まずはホテルにチェックインするから、というので私たちはレンタカーでホテル付近から張り込みを始めた。

ニューヨーク…マンハッタン…張り込み。

ジャックバウワーか、っつぅの(笑)

けど、私たちは拳銃など持ってないから、間違いなくテロリストには歯向かえない…。

張り込みを開始して、どのくらい経ったろうか。

軽く3時間は経っていた。ホテルの前に、黒の大きなワゴン車が停まった。

どうやら、ホテルの送迎のようだった。

「あれかもね。」私はH君に言った。「面取りしなければならないから、撮影頼むよ。」

ワゴン車から数人のスーツ姿の男たちが降りた。

「日本人だ。」私は言って、車から降りて少し近寄ってみた。

間違いない。対象者(ご主人)だ。年齢は50才と聞いていたが、見た目はもう少し若く見えた。

「ああいうのを、〝イケメン〟って言うんだろうね。」

「そうだね…モテそうだな(笑)」私はH君に言った。「あれは、やってるな。」

 

◇    ◇    ◇    ◇

 

「女、現れるかね?」H君は言って対象者がホテルに入って行く姿の撮影をした。

私たちは再び張込み態勢となった。この後、一人でホテルを出て、さっそく女と会うか。

会ってくれないと困るのだけど。

そうはならなかった。何故なら、午後7時頃に対象者は一緒に来た男性らとワゴン車に乗り、ニューヨークの街中へと向かったからだ。

しかも私たちは、ニューヨークの街中で見事に本人が乗るワゴン車を見失ってしまったのだから。

きっと、彼もマンハッタンで彼女に早く会いたかろうが、

私たちも然り。

早くマンハッタンで会いたい…

この後、とんでもない状況に陥る私たち。

果たして、浮気の証拠は撮れるのか???

 

~次回につづく(2019/12/29頃 掲載予定)~

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