~やっぱり浮気をしてたのね?vol.7~
仮に、警戒していて、二つ目の角を彼が走ったとして…
この時の彼は革靴。
僕は、調査員全員を、僕が彼を見失った場所に呼びました。
で、一番若い調査員に、彼が曲がった二つ目の角から、ダッシュで走らせてみました。
そして僕は、一つ目の角を曲がったところからダッシュする…。
よーいドンで、お互いに角から走り、僕が二つ目の角を曲がったところで、調査員にストップさせる。
それで、ほぼ彼が左右のどの路地を曲がったのか、いくつか推測できたのです。
あのタイミングで、彼がその先の大通りまで行く事は、ほぼ不可能。
とすると、おのずと彼が曲がったであろう路地が二本ほどに絞られたのです。
ここからは簡単。
その日は、もう無理だとして、次の機会を待つ事にしたのです。
当然、この日は不可効力ですから、依頼者に報告して、次のチャンスを頂きました。
果たして、次の調査日。
彼は、前回と同じ様に電車で中野坂上に来ました。
僕らは、前回のようにゾロゾロと尾行はしません。
当然、生徒さんは外しました。
まず、尾行は彼が丸ノ内線に乗った事を確認。無理な尾行はせず、失尾しても良いくらいに離れるように指示。
次に、中野坂上の彼が出てくる地上出口に調査員をひとり配置。
僕と二人の調査員の計三人は、予め、中野坂上で前回、僕が彼を見失った路地の二つ目の角を曲がった先に先回り。
で、二人の調査員をそれぞれ、彼が前回曲がったであろうと絞った路地に隠れて待機。
この二人の調査員がそれぞれ待機したところで、駅の出口で張り込んでいた調査員から、僕に連絡が入りました。
つまり、今、彼が駅の出口を通過して、僕らがいる方向に向かっているという事です。
駅の出口で彼を確認した調査員は、当然のように尾行はしません。
僕は調査員の報告を受け、あとは路地に潜んでいる調査員に、とにかく、持ち場だけを押さえるように指示を出し、彼がこっちに向かってくる道を、逆に戻るように歩いて行きました。
一つ目の角に差し掛かった時、こちらに向かってくる彼の姿が見えました。
僕は、彼とすれ違い、彼が一つ目の角を曲がったところで、潜んでいる調査員に連絡しました。
あと、30秒ほどで、彼が二つ目の角を曲がる…と。
思った通り、彼は潜んでいた二人の調査員の路地に入り、すぐに戸建住宅の裏側に立地する、木造二階建ての古いアパートに入って行った事を、潜んでいた調査員が確認しました。
ー 大成功‼️ ー
…と言いたいところですが、これではダメ…
表札は出てないし、女性の姿は確認してないし…?
とはいうものの、ここから先はそんなに難しい事はありませんでした。
後日、彼は新宿で女性と会って食事…その女性と一緒に、中野坂上で判明したあの古いアパートに入って行ったのだから。
その後は、依頼者である奥さんにレポートを提出し、彼女が新宿御苑の法律事務所に行かれました。
僕らは、その後のフォローで、弁護士先生の指示のまま、レポートを編集。
さらに相手女性の氏名を調べろとの弁護士からの指示で、ある方法を使って、相手女性の氏名を判明させて弁護士先生に報告。
依頼者である奥さんは…
喜んでいましたね…。
『やっぱり浮気をしてたのね?』
…と。?
(おしまい。)