こんな依頼がありました…特別編〜危険な依頼〜vol.4

こんな依頼がありました…特別編〜危険な依頼〜vol.4

~危険な依頼vol.4~

さて…ここからが本当のややこしい話です。

11時ころ、Y氏の車がビルの地下駐車場から出て来て、四ツ谷方面に走行して行きました。

道路の混雑具合は…というと、新宿ですから、普通に多くの車は走ってますが、混雑という事もなく、尾行もやり易かったです。

それにバイクがいますし、信号で僕が無理をする必要もない。

Y氏の車は、紀尾井町のオフィスビルの地下駐車場に入って行きます。

オフィスビルというより、弁護士ビルですね(笑)

紀尾井町で弁護士ビルと言ったら、東京の人には分かっちゃうかも知れませが(笑)

1時間ほどして、再びY氏の車が紀尾井町のビルの地下駐車場から出て来て新宿方面に走行。

僕らは、これまた普通に彼を追尾する。

次を左に曲がれば、Y氏の会社が所在するビルに…

ところが、曲がらずに直進したのです。

おや❓と思いましたが、この界隈からでは、どこにでも行けますし、何処か立ち寄るな…くらいにしか思いませんでした。

次の瞬間までは…

少し直進したところで左折して、さらに左折したのです。

(あっ、やられた❗️)と思いましたね。

二回目の左折した通りは全一通。

ぼくは速度を落として距離を取りました。

思った通り、Y氏は車を左路肩に寄せて停車しました。

ぼくは直進に速度を落としてましたから、すぐに止まれました。距離も十分にあります。

次の瞬間、Y氏が車を飛び降り、僕の車の方に走って来たのです。

バイクはどうしたのか?

実は、バイクの彼はY氏が会社に戻ると思い、先回りしようと会社のビルに向かったのです。

これは、何かのお話の時に説明しますが、こういう調査員はよくいるんです。

僕は、先回りっていうのは間違っていると思いますし、大嫌いです(笑)

まぁ…今回は理由に言及しませんが。

なので、この時は僕の車しかありませんでした。

Y氏は僕の車の助手席の窓を、ガンガンと叩き、“窓を開けろ、車を降りろ”と喚きます。

僕は、無視して車を発進させました。

するとY氏は、自分の車に走って戻り、ものすごい勢いで僕の車を追っかけてきました。

正直…笑えてきました。

僕は、臆病なくせに、こういう時に開き直りが早いというか、開き直ると笑えてきちゃうんですね(笑)

ですが、理由はわからないけど、バレている。

捕まるわけにはいかない。

その後の事は、あまり憶えてないですが、新宿界隈の赤信号を全て無視して逃げ切りました。

後で思いましたが、横断歩道も横断する人がいても、すり抜けて通りましたし、バイクかっ、て感じでしたね。

それに、よく白バイやパトカーに出喰わさなかったな、と思いました。

流石に、Y氏は僕を追い切る事は叶いませんでした。(笑)

それでも、新宿界隈ですからY氏は詳しい。

僕は、出来るだけ新宿から離れて車を隠しました。

やれやれ…とタバコに火を点けて、ふと疑問に思いました。

(一体、どこでバレたんだろうか…)

そんなに車両尾行が下手になったのか…そんな自信を失うほどの疑問です。

バイクの調査員に連絡を取り、一部始終を伝えて、すぐに会社のビルから離脱するように指示を出しました。

そして、バイクの調査員に尋ねたのです。

「…尾行が下手になったのかな?」

「そうですかね…」バイクの調査員は言いました。

「普通だったと思うんですがね…あれでバレるんなら、どうしようもないかと…」

まぁ、僕に遠慮してるのかな…その時はそんな風に思ってました。

とにかく、元請けの社長はゲキ怒り。

ひたすら謝るしかなかったですね…

ただ…どうしても腑に落ちないのが、“何故❓”と“何処で❓”そして、“いつ❓”だったのです。

悩みに悩むと、もう本当にわからなくなります。

2、3日して、また元請けの社長から電話があって、取引き停止を宣告されるのかと思いきや、

「ごめん…」と社長。

「何が…ですか?」

「実はね…」

社長は言いました。

「あんたがバレたんではなくてね、

すでに最初からバレていたらしい。」

「え⁉️」と僕は何を言われたのか、サッパリ理解でしませんでした。

よくよく聞くと、ようするにこういう事だったのです。

依頼会社が、元請けに依頼する前に自分の社員を使って、散々尾行をさせていたらしい。

勘づかれて、やばいって事で止めて、それで元請けに依頼してきたのだけれど、その事実を依頼会社が元請けに言っていなかったという。

で、最初から、というのは、Y氏の監視の時からという事で、依頼会社が社員にやらせていたのは、Y氏らしい。

依頼会社の社員は、尾行とかする前に、自宅周辺にいてY氏に警察に通報されて退散した、という事でした。

つまり、Y氏は自宅周辺には十分に気をつけていて、自宅を出た時から勘付いていたわけです。

とりあえず、ホッとしました。自分が探偵としてどうかとか、そんな事ではなく、原因がハッキリしたからです。

一旦、この調査も中止になり、レポートも提出して、落ち着いた日常に戻っていきました。

当時、僕は車で事務所に行く事が多く、事務所の近くの公共駐車場に停めていました。

僕は市川市に住んでいますから、国道14号から市川橋を渡り、そのまま蔵前橋通りを平井方向に向かい、途中、蔵前警察の角を左折して、江戸通りを通って、昭和通りに出て銀座方面に…という、若干遠回りで行きます。
この行き方が、一番道が空いていて行きやすいのです。

あの日も、同じでした。家を出て、市川駅方面にに走り、市川橋を渡って江戸川区に入りました。

道路は、朝なりに混雑はしていますが、何となく流れてはいます。

江戸川区に入った時から、何となく僕の真後ろについている車が気になりました。

黒のウィンダムで、練馬ナンバー…

はて❓どこかで見た事あるような、ないような…

東京都内だし、練馬ナンバーも不思議ではない、と思われるでしょう?

ところが、僕が一番最初に気になったのが、このナンバーなのです。

営業車ならば、練馬ナンバーも不思議ではありません。

それから、市川方面から東京都に向かう車は、特にこの朝の時間帯であると、習志野ナンバーや足立ナンバー、品川ナンバーが多いのです。

これは、生まれ育った街だし、この辺を車で走って永いですから、ジモピーの勘ってやつです。

なので、練馬ナンバーのトヨタウィンダム…しかも年式が古く、スモークが貼られている。

僕は、車線を変更してみました。

果たして、その車も車線変更して、やはり僕の後ろにつきます。

けれど、一度はあり得るでしょう。

前の車が車線変更したら、流れが良い方だと思って、同じ様に車線を変えるっていう偶然は。

でも、偶然ではありませんでした。

間違いなく、僕はその車に尾行されていたのです。

(vol.5(5/25頃掲載予定) につづく)

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