~哀しい浮気調査~〈後編〉
それからというもの、毎日のように調査をする事になりました。
両親がお金を出してくれる事になって、彼女はお金を気にしていないかのように、“明日も、明日も…”と。
結局のところ、気がついた頃には、雪がちらつく季節に…
ぼくは、依頼者の彼女に言った事があります。
「なぜ、そのまで調査をするのですか❓もう、不貞の証拠は十分。お金がもったいないから…」と。
けど、彼女の返答は、意外なものでした。
「彼が、昔の彼に戻ってくれるまで…」と…。
そう…彼女は彼を心底愛していて、離婚して慰謝料をもらうとか、そんな事はどうでも良かったのです…
こんなに、切ない話ってありますか❓
浮気調査をして、彼が浮気をしているのをわかっていて、それでも彼を憎まない…
皆さんに、彼女の気持ちがわかりますか❓
彼女の指示のまま、調査を重ねて…
でも、彼に変化が見られる事はありませんでした…
どんな形で調査を終了したのか…あまりに前の話なので、残念ながら憶えていません…。
ただ、憶えているのは、調査をしている側の僕が、もても切なく…哀しい気持ちになった事だけです。
(おわり)