※今回の掲載が予定より大幅に遅れてしまい、申し訳ありません。m(__)m
妻は再婚であった。元夫のとの間には二人の娘がいて、すでに二人は結婚して独立している。元夫が病気で他界し、その後、いまの旦那(依頼者)と再婚。
しかし、依頼者は60歳にして初婚であった。再婚してまだ数年。某県某所に家を新築して、同居家族構成は、依頼者と妻と妻の母親と妻の長女の息子と4人暮らしであった。
“長女の息子?”
小学校低学年の男の子。
「長女夫婦がね…」依頼者は言った。
「息子に対して虐待があって、それで妻が引き取って養子にしたんですよ。」
なんともはや複雑な…
とはいっても、養子にして自分の息子のように可愛がっていたという。
さて…奥さん(失踪人)の手がかりを、少しでも探さなければならない。
残して行った携帯電話のメール、パソコンなど、これらは有力な情報源…。
…が、すでにその必要もなかった。
「パソコンの検索履歴に…」
依頼者は言った。
「何回も、◯◯市への乗り換え案内を見てるんですよ。」
「パソコンで?」
少し不思議だった。この携帯電話が発達した時代、携帯で検索せずにわざわざパソコンで。
「うちの妻はね…」
依頼者は言う。
「携帯はガラ携だし。スマホは嫌だっていうから、慣れさせるためにiPodは誕生日に買ってやってね。」
某市は、某県の温泉地でも有名な場所で、そして…自殺のメッカとしても知られる。
それにしても、ありがたい事に情報は既に用意されている。
パソコンから有力な情報もあり、普段の所持品もカバンに一纏めにしてくれて行ってるから、家の中をいろいろと探し廻らなくても良い。
とにかく、私はこの状況から自殺の可能性を強く感じ、すぐに某県某市に向かった。
丁度、この頃、私の会社に営業として入社したばかりのH氏という人物がいて、研修も兼ねて同行させた。
某市に着くと、すぐに所轄の警察署に向かった。
私たちには、二人の若い刑事が対応した。
「それで?」若い男性の刑事が一言。
もう一人の刑事は若い女性だが、これがまた美人。
「ですからね…」私は言った。
「自殺の可能性があるのでね、何とか協力してもらえないかと。」
二人の表情は、何と言おうか…私を珍しい生き物でも見るような、そんな表情だ。
「何で自殺だと?」
男性刑事は言う。
「遺書とか、それに近いような置手紙があったのですか?」
「それはないけど状況から、その可能性は十分にあり得ると。」
「それでは事件として認定されないのですよ。」
嘘だろ?遺書とかって言うけれど、果たして自殺をしようって人間が冷静に手紙なんか書くだろうか?私はニュースなどで自殺した人たちが遺書を残していると聞くといつも思うのは、それは遺書ではなく、単なる苦しんでいる時のSOSであって、死ぬ時は突発的なのではないかと思っている。
つまり、遺書を書いて自殺するのではなく、SOSを発していて、もう限界にきたときに発作的に死に至ってしまい、その後、SOSを発していた物が発見され、それが遺書と呼ばれる。
なので、本当に警察は事務的だと痛感した。
仕方がなく、私とH氏は駅に戻った。
「無理じゃないですかね?」とH氏。
「ダメ元ですよ。」私はそう言って、某市駅の駅長室に向かった。
駅の防犯カメラを見せてもらうために。
私たちが駅に着いた時に、私は2台の防犯カメラが設置されているのを確認した。
1台は改札口の出入り。もう1台は観光案内カウンター付近。
これを見れば、間違いなくこの地に来たのか、そして独りだったのか、他に誰かと一緒だったのか、それがわかる。
しかし、そうはならなかった。
なぜなら…
当然の事ながら、防犯カメラなど見せてくれるわけがなかったのだから。
~Vol.③につづく(2019/02/10頃 掲載予定)~