「失踪人」こんな依頼がありました〜Part 9 Vol.⑦

「失踪人」こんな依頼がありました〜Part 9 Vol.⑦

今…iPadのOfficeWordに残された記録を見て書いている。

彼女の1ヶ月を聴き取りして記録したものだ。

それを見ながら思い出している。

1日、1日をご家族、おばあちゃん、夫、本人の実次女。

彼らに可能な限り思い出してもらって聴き取っていった。

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聴き取れば聴き取るほどに不思議に思った事を思い出す。

この記録の中には、◯◯市に行く前に聴き取った内容も入力し、その間、間に新しく聴き取った内容を埋めていく。

彼女のパート先の社長の、“あの会話”も入力して埋めていった。

ただし、あの内容は社長の希望もあって、約束通りご家族には伏せるため、最終的に依頼者である夫にレポートとして提出する前に削除した。

とにかく、この時点では削除していない。今、私が見ているのは、提出時に別ファイル名で保存した、“あの内容”も含んだものだ。

不思議だ。

この記録を見直してみればみるほどに、益々、彼女か自殺した理由がわからなくなる。

聴き取りした日は、寒さがやや和らいだ天気の良い日だった。この日は、聴き取りだけの目的に依頼者宅を訪れたわけではない。

捜索願を提出した、依頼者宅の最寄り警察署にご家族を連れて行くためでもあった。

何のためか?

無論、警察の協力を得るためであった。ダメ元ではあったが、調査をしていく過程で、これは何か尋常ではない事が起きている…そう感じたから、それを家族を連れて、私が警察に訴えかけたかったからだ。

聴き取りを終えて、依頼者である夫の運転で、おばあちゃんと実次女と私が車に乗り込んだ。

乗り込んだ車は失踪した彼女が主に乗っていた車だった。

全く関係のない話のようだが、車が発進して、私は驚いた。

何に驚いたか?

そう、夫の運転にだ。

これがまた、恐ろしいほどに下手くそな運転に。

私は思った…

『まだ、殺されたくない…。』

そうはならなかった。

なぜなら、依頼者である夫の運転が酷すぎる事を思い出した本人の実次女が、すぐに運転を代わってくれたからだ。

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~Vol.⑧につづく(2019/04/28頃 掲載予定)~

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