今…iPadのOfficeWordに残された記録を見て書いている。
彼女の1ヶ月を聴き取りして記録したものだ。
それを見ながら思い出している。
1日、1日をご家族、おばあちゃん、夫、本人の実次女。
彼らに可能な限り思い出してもらって聴き取っていった。
聴き取れば聴き取るほどに不思議に思った事を思い出す。
この記録の中には、◯◯市に行く前に聴き取った内容も入力し、その間、間に新しく聴き取った内容を埋めていく。
彼女のパート先の社長の、“あの会話”も入力して埋めていった。
ただし、あの内容は社長の希望もあって、約束通りご家族には伏せるため、最終的に依頼者である夫にレポートとして提出する前に削除した。
とにかく、この時点では削除していない。今、私が見ているのは、提出時に別ファイル名で保存した、“あの内容”も含んだものだ。
不思議だ。
この記録を見直してみればみるほどに、益々、彼女か自殺した理由がわからなくなる。
聴き取りした日は、寒さがやや和らいだ天気の良い日だった。この日は、聴き取りだけの目的に依頼者宅を訪れたわけではない。
捜索願を提出した、依頼者宅の最寄り警察署にご家族を連れて行くためでもあった。
何のためか?
無論、警察の協力を得るためであった。ダメ元ではあったが、調査をしていく過程で、これは何か尋常ではない事が起きている…そう感じたから、それを家族を連れて、私が警察に訴えかけたかったからだ。
聴き取りを終えて、依頼者である夫の運転で、おばあちゃんと実次女と私が車に乗り込んだ。
乗り込んだ車は失踪した彼女が主に乗っていた車だった。
全く関係のない話のようだが、車が発進して、私は驚いた。
何に驚いたか?
そう、夫の運転にだ。
これがまた、恐ろしいほどに下手くそな運転に。
私は思った…
『まだ、殺されたくない…。』
そうはならなかった。
なぜなら、依頼者である夫の運転が酷すぎる事を思い出した本人の実次女が、すぐに運転を代わってくれたからだ。
~Vol.⑧につづく(2019/04/28頃 掲載予定)~