探偵業の業界団体の在り方

探偵業の業界団体の在り方

前回、~選び方~について話をしました。その際に、少しだけ業界団体について触れましたが、今回は少し突っ込んでお話しをしてみたいと思います。

WAD世界探偵協会

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まず○○協会といった組織というのは業界には必要不可欠です。このような団体があるからこそ、業界の健全化が少しでも保たれているわけです。我々業界人にとっては、ありがたい存在である、という事をまず未加盟業者も理解しなければなりません。

〈所謂、業界団体と言われる団体。〉

日本調査業協会   日本探偵業協会

全国調査業協会連合会

(この他に、協会の名がつく業界団体のようなものや、NPO法人も数多く存在する事自体、この業界が纏まっていない証拠です。)

さて。前回、業界団体に入っているからとあって大丈夫とは言えない、と書きました。非常に矛盾していると思われるかも知れませんが、業界団体の必要性と、加盟している業者の透明性とは別の話です。

透明性とは何か?というと、宣伝で謳っている内容と、実際にお客様が面談に行かれて契約した時の内容が、あまりな違いませんか?という事です。

一番は、そこですね。

実際、ホームページなどを見ると、「業界最安値」などと書かれていたりしますが、実際に行ってみたら大変な見積りを出された、などという話が現実的にあります。

その金額とは桁外れ。2日、3日で数百万円とかも珍しくありません。

また、先日来られたお客様では、尾行の必要はなく、調査員は一名で足りる内容で、時間は3時間程度。そしてお見積もりをすると料金の安さに驚かれて、実は他社で契約をしてしまって…というお話をされました。

私は、二重契約はダメです、と言い、契約された探偵社で依頼をされて下さいと言ったところ、どうしても安い方でお願いしたいと言い張るので困った事がありました。

しかし、まずは契約書に違約金の事が記載されていると思いますよ、と伝えると、ご相談者は、よくわからないから、契約書を見て頂けますか?と私にその契約書を見せたのです。

見ると、○○協会の契約書でした。その協会の加盟業者なのですね。

違約金は、やはり記載されていました。これは特に問題はないですが、ふたつ問題点を見つけました。

まず、ひとつは違約金の事というのは、ご相談者にとって、大変重要な内容ですね。探偵業法で、重要事項説明の義務がありますから、この説明はされたと思いますし、説明を聞いたという旨の書面に、ご相談者に署名させているはずです。

にも関わらず、ご相談者がその事に対して認識していないという事です。ご相談者がよく聞いていないのが悪いと言われるかも知れませんが、この違約金というのは、何度も言うように大変な重要事項で、お客様に不利益になる可能性が大きい内容です。

というのも、以前、大手○○という業者で契約してきてしまった知り合いのお客様が、あまりに高額な事に、あとになって考え直し、私の知り合いのツテで私のところに来られました。結果、その業者を断ってこられたのですが、違約金だけで8万円も払ったそうです。契約をバンバンやって、仮に断れても8万円払わせられるのなら、これだけ10件あったら何もしないで80万円です。

違約金というのは、お客様の頭の中に一番印象を残すよう説明する必要があると思うのです。それを、その業者はあえて怠ってるのだと思いますし、今回のお客様と契約した業者も然りです。

もうひとつの問題は、何故か金額の内訳が記載されていないのです。内訳というのは、調査員何名で、車両を使うのかバイクを使うのか、経費関連は実費なのか付帯管理費として%になってるのか?

こういった事が全く記載されず、○○万円。と記載されているのです。なので、私も何故この金額なのか?理解不能でした。

協会に加盟していても、業者によって様々だという事がお分かりだと思います。

毎年、4月、5月、6月になりますと、管轄の警察署の立ち入りがあります。弊社も先日終わったばかりです。

その際にいつも思っている事があり、担当官に質問をしました。

「この業法は、改正された事がありますか?」

「ないと思います。」の一言。

探偵業法が施行されたのは2007年6月ですから、すでに10年経ちます。この10年間、改正がない?そんな馬鹿な法律が他にあるでしょうか?しかもその間、立ち入りがあるたびに多くの業者が納得いかない内容があったのです。私も、○○協会を辞めてから、その協会に業法の矛盾点を報告した事があります。それでも、変わらないのは協会が何もしないのか、あるいは協会に力がないのか?

特に業者としての矛盾点で、一番面倒なものは、業務委託契約です。探偵業者が探偵業者に業務の全部または一部を委託するというものです。

この探偵業法は、一般の個人のお客様を想定した法律なのです。なので、本来ならば業務委託は業者間で一度交わすか、年に一度更新すれば済みます。それが業務委託の性質です。

ところが、この法律には業務委託に関して、探偵業の業務委託は探偵業者にしかできないという条文だけで、その委託契約に関する詳細の文言が全くないのです。

その結果、どうなったか?

つまり、元請けが下請けに委託すると、元請けは、お客様(委任者)となり、下請けが受任者となるわけです。

元請けというのは探偵業者です。それがお客様扱いになるので、この同業者に対して、重要事項説明をして、重要事項説明書に署名してもらわなければなりません。

しかも通常、元請けさんと下請けさんは定期的なお付き合いで、多い場合は毎日のように多くの案件がくるわけです。それを、その度に書類を作成し、重要事項説明書に署名し、という事をやらなければならないという事です。

で、業者は実際、どのようにやっているのか?というと、そんな毎回毎回、馬鹿みたいにやってられないのが実情ですから、定期的に委託契約書と重要事項説明書と利用目的確認書を、案件の数だけまとめて下請けに送り、まとめて送り返すという、本当にバカバカしい事務仕事をしているわけです。

本来は、元請けが受けたのが真のお客様で、そのお客様が元請けに契約書を交わして重要事項説明を受け、重要事項説明書に署名しているわけですから、それが元請けの責任であって、だからこそ業者間でなければ委託できないわけでしょう?

この矛盾を、10年間やってるわけです。

協会というのは加盟員から会費を取って、そして未加盟業者に対しても研修会をやって研修費を取り、指導をされているようですが、それは業界のため?それとも協会のため?

協会が本当に業界のために仕事をされているのなら、きっと加盟員はこれからは増えていくと思います。しかし、逆に協会さえ良ければ良いという風潮が感じられれば、協会を退会する加盟員が増えていくのではないでしょうか?

協会に加盟していなくても、真面目にコツコツ、お客様のために一生懸命仕事をしている業者がたくさんいるという事を忘れてはいけません。

とはいうものの、理想はやはり、全社が協会に加盟する事が望ましいと思います。

業法を改正できないのは、まずひとつに業界団体の加盟数が少ないからです。法律を作るというのは、大変な大きな力を動かす事です。2007年に業法ができたのは、あまりにこの業界によってもたらされる事件、問題が多く、社会問題となったからです。業界団体の働きかけがあった事も事実ですが、それよりも大きかったのは世論が動かしたといっても良いのではないでしょうか?

それでも議員立法でしたから、この業界がいかに影の薄い業界かという事もわかります。

その後、改正されないのが証明しています。

現在の法律では、探偵業者に何のメリットもありません。メリットはなくても良いですが、やりにくい事務書類が多すぎます。それほど、この業界が信用されていない業界だという事なのです。

これには、協会がもっともっと加盟数を増やし、それによってお客様にとっても、業者にとっても良い法律ができるのです。

全国に約5000社とも言われる届出業者。

これが全て一本化された協会が望まれます。

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